透明水彩一枚絵
大体一週間ぐらいかかって一枚のイラストを完成させているのですが、30時間くらいかかりました。
手際は良くなっているはずなんですが、一枚の絵に四人も人物を入れたので、時間かかるだろうなとは思っていましたが、まあ大変でした。人数増えると難しいです。
描きたいイメージはあったのですが、構図に悩んでしまい、なかなかラフが進まなかったのですが、一週間休んで頭の中で熟成させて、「よしこれで行こう」、と決めて描き始めました。
冒険者たちが、迷いの塔というところでいろんな景色を見るのですが、全員塔の中で逸れてしまって、イラストの場所はスイが見た景色です。竜神の間で全員合流するのですが、主要人物の集合絵にしたいなと思い、扉の前に四人描きました。本当は、全員違う景色を見ています。頭で認識している風景と、実際が違うという解釈もできるかもしれません。
なので、※画像はイメージです。
メイキング
大ラフの段階ですでに色をある程度置きました。
一番手前の子はディアナで、竜族の騎士を目指す気の強い勝ち気で元気な女の子。
一歩奥の角の生えた子はアウラ。行方不明の父親を捜索するため旅に出て、ディアナたちと出逢いました。いつも冷静なのに重度のパパっ子。
灰色の翼の子はリリィ。彼女がどこから来たのかはわりと後半でわかります。
扉を開けている子はスイです。この景色はスイが見た景色のひとつです。椅子が乱雑に置かれた不思議な草原で、真ん中に扉があり、その先に竜神がいました。けっこう苦労してここまでたどり着くんですが。
完成系では扉の向こうに竜神の影が見えているのですが、それは完成する直前まで思いつかず、カラーラフの段階でもありませんでした。
塔の中のはずなのに果てしない草原があり、不思議な構造で、扉が結界のようになっているんですよね。草原の真ん中にポツンとあるのに、扉を開けると別の場所につながっているという……。
迷いの塔のシーンは文章を書いていてすごく楽しかったです。
本編、小説形式はラストを書き直し中ですが、やっぱり漫画にもしたいなあ……。あと一枚イラストを描いたら、描きかけの漫画制作も再開したいと思っています。
次回作はカラーで表現したいと思っているのですが、そうなるとかなり作業も大変だろうな。Webtoonにしたらいいのか、それともあくまで製本に対応させるのか、それはちょっと悩んでいます。
下絵
線画を起こしました。
ここまででデジタルの作業は終了です。
草むらは陰影で表現したかったので、水平線の辺りだけ描いて、ペン入れせずに馴染ませる計画で行きました。
このシーンの着想はシュヴァンクマイエルという映像作家の『ワイズマンとのピクニック』という短編映画の影響を少し受けていて、草むらの上に直に置かれた家具とか不気味さがすごく好きで、印象深かったんですよね。
私の好きなタルコフスキーの『ストーカー』という映画の原作の『路傍のピクニック』という小説のタイトルにもピクニックという単語が入っていて、「地球に宇宙人が到来するのは、草原に暮らす虫などの生物たちがピクニックをしにやってくる人間に遭遇するようなものだ」というイメージが頭にこびりついていて、そういう意味不明な不気味さとか、理解できない現象と遭遇する場面を描きたかったというのがあります。
『ワイズマンとのピクニック』も、オチはあるのですが、理解できないの塊なので。身近でありふれたモチーフがちょっとした置き方などで違った表情を見せるようなのは好きかもしれません。
転写して準備
印刷して転写。ほぼ全体的に真っ黒になりました。
これだけ塗ったくったのに、鉛筆削りはたったの二回で済んで、しかも本当に一瞬で削れて、かなり塗り潰しの負担が軽減されました。
あの鉛筆削り買って本当に良かったです(鉛筆削りの記事)。
まあ、転写の作業は面倒でしたし、けっこう後から写し忘れているところを見つけたりで大変なんですが。
絵に命を吹き込む大事な作業……とでも考えながらやらないとしんどいです。
もしかしたら、下絵を少し薄めに印刷したほうがいいかもしれないです。赤いボールペンで転写しているので赤いところが転写終わったと分かるのですが、部分部分で抜けてしまっているところがまだわかりにくい。何か対策しないと……。
転写が終わったらカラーラフと着彩の道具を机に設置して準備します。
配置などは試行錯誤。パレットの近くに水があったほうがいいなと思って筆洗いを右側に寄せました。
右利きで右手に筆を持つので右側にパレットがあると混色の作業などがやりやすいのですが、たまに濡らした筆が絵の上を横切って水がこぼれるという失態をやらかしていたので、それをなくそうと対策。
あと、いつも机の上にあるものは一旦別の場所に片付けてスペースをより広く確保しました。時計だけは残しました。必要です。
塗っていく
下塗りして作業を進めていきます。
今回はマスキングは使いませんでした。
1日目は奥の二人と背景に大体色が乗ったところで中断。
今回はパレットを洗わずに作業できた! その甲斐あってか、無駄に彩度が鮮やかになるのを軽減できた気がします。
空気遠近法で草原の遠くの方は空に溶け込むように薄しています。
正直に言うと椅子をそれぞれ別のデザインにするのは面倒くさかったのですが、揃えたら意味不明さがなくなるなあと思ったので頑張ってひとつひとつバラバラに描きました。
自分のいる世界のことを全て理解するって、あまり現実的じゃないと思うんです。死ぬまで知らないままのことの方が多いんじゃないかと……。
知的好奇心はありますが、全部知ろうとするのは無理なんですよね。そこまで頭良くないし。きっと死ぬまで幼年期。
新しいことを知るのは楽しいですけどね。学習する喜びっていうのは、生物として獲得してきた性質にすぎないんだと思います。
完成
右の奥の椅子が手前に来ている椅子よりも濃くなって主張していたので濡らしてティッシュで叩いて薄くしたり、人物を塗り込んだり。
着彩に丸二日かかり、なんとか完成しました。なんか、良い絵なのかどうか自分でもよくわかんなくなって、モヤモヤモヤモヤしながら描いていましたね。
そもそもがそういう哲学の絵なんだと思います。30時間モヤモヤってきつい。
一応扉の向こうに竜神がいるという設定なので、扉の意匠には意味を持たせたりはしましたけれど……。補足ですが体癖は手前から7種、5種、10種、4種、という感覚でやっています。あくまで創作の参考です。
着心地のいい服を着たときのような手触りのある絵を表現していきたいなあ、と考えていたところなのですが、ちょっと怪しい絵も悪くないなと思っています。一週間休んだ甲斐はあったのかもしれません。方向性ってやりながら探っていくものなんですね。
今週もどうかご無事で。
