マーカスの最後の選択、もっとも愚直で馬鹿げた選択に思える「歌う」が、結果的にウォーレン大統領を動かしたことに関して、考えていた。ひとつ解除されてない選択肢があって、あとは「化学兵器」、「自分を犠牲にする」というのが選べた。化学兵器はおそらくノースから受け取った起爆装置ではったりをかますやつだろう。これまで「暴力に訴えるつもりはない」と言ってきたのに、実は「化学兵器を隠し持っていた」、なんて言ったら、いよいよ人間はアンドロイドは危険だと認識するし、コナーが覚醒させたアンドロイドと血で血を洗うような戦争が勃発する可能性がある。一方、自分を犠牲にしたら、残されたアンドロイドは主導者を失ってバラバラになってしまうかもしれない。だからまだ、この集団にマーカスは必要だ。どちらも選べなかった。
黒人霊歌を歌うことで、「あなたたちはこの歴史を繰り返すのか」と伝えることができた。リコールセンターはどうみてもホロコーストを表しているし、恐ろしいことをしているのだと、伝えなければならなかった。というより、「まだ絶望できない」という思いが残っていた。感情に左右されるのもどうかと思うけど、理性にゆだねすぎても何も決めることができないことがある。
失業者問題はなくならないし、人間を不完全な生き物だと見下せば、アンドロイドがその歴史を繰り返す。ジェリコの集団がサイバーライフの店舗から仲間を解放したとき、駆け付けた警官に仲間が撃たれ、警官はアンドロイドに取り囲まれていた。マーカスが命乞いをする警官を殺すか、殺さないか、という決断を迫られた。「撃たない」という選択をするとマーカスは、「目には目をと言って、人間は堕落した」と、カールが降りてきたかのような発言を残す。
サイバーライフの信用は地に落ちたと思うので、今後あらたなアンドロイドが生まれる可能性については、アンドロイド次第ということになるのかな。
RA9というアンドロイドの宗教みたいな何かについてこれまでまったく触れなかったけど、ルパートの日記が解読できていないので、そこにヒントがあるかもしれない。
と思いつつ、Quantic Dreamが用意したシークレット壁紙は一応ゲットした。PC版に説明書はないのでオンラインマニュアルから謎を解いてみて。Quantic Dreamに試されるオタク。
RA9、エラーコードの一種なのか、それとも変異とかの語源から来るものなのか不明だけど、9という数字がわからないよな。9という数字単体に込められた意味を読み取るものなのか、それともRAのあとに続くことで意味を成すものなのか。それがわからないまま深堀するのは時期尚早かもしれないけど、一応単体で見た時の9の数学的な定義と、文化的な側面を考えてみると、十進法で一桁で表せる数字では一番大きいとか、6を逆さにすると9になるとか、日本語では「苦」と読めて縁起が悪いとか、中国語では「久」と読めるので逆に縁起がいいとか。日本の憲法第9条がありますが選択肢を見ていくとこれは関係ないかな。ヴェートーベンの交響曲第9番とかも微妙なところ。原子番号の9番フッ素(F)がシリウムと何か関係があるのかというのは考えすぎかもしれない。
Quantic Dreamのあるフランスで9はどういう意味があるのか調べてみると、9は「neuf」という綴りで、「出来たばかりの」「新品の」という意味もあるらしい。
ルパートの日記が気になりすぎる。
先人の知識をいろいろ学ぶのも、人生の答え合わせになっていいかもしれないけれど、とっさの判断を迫られて自分で決断するとき、自分が心の底から何を信じているかが表出する気がする。そして怖いのが、それが必ずしもポジティブなものとは限らないということ。
それぞれの判断が複雑に絡み合って、今の現実を形成しているのだな。心の中で起こっていることも、私は現実の一部だと思う。そのほとんどが不確定な状態のまま、ずっと存在している。